« 「有機農業運動と〈提携〉のネットワーク」を読んで | トップページ | 第32回 三里塚団結野菜市 »

2008年12月18日 (木)

暫定滑走路認可取り消し控訴審裁判を傍聴(12月17日)

081217

 昨日、12月17日、東京高裁で暫定滑走路認可取り消し控訴審の公判が開かれました(写真は、公判後の報告会で。中央が証言された市東孝雄さん)。

 前回、9月10日の公判で証人調べを一人も行わないまま審理を打ち切ろうとした裁判長に対して、弁護団、反対同盟は猛然と反撃し、この日の証人調べが勝ち取られた。

 京都大学大学院工学研究科の環境衛生学講座准教授の松井利仁さんが証081217_4 言に立たれた。松井さんは、日本だけでなくイギリスをはじめ各地の航空機騒音の実態の調査を手掛けられてきた。05年~06年には成田市の依頼で「成田空港周辺での騒音による生活妨害、健康被害」の1万人アンケート調査の鑑定、意見書を出されたりの具体的な疫学調査をしてこられている。

 証言の中で、航空機騒音の健康被害が、これまで、「感覚影響」「生理的影響」から考えられてきた経緯を述べられた上で、最近になってWHOでも、そうではなく「健康影響」が重大であると注目をはじめ、基準を考え始めていることを指摘された。聞きながら、1970年代の大阪空港騒音訴訟の中で、厳しい騒音被害を切々と訴える周辺住民(原告)に対して、運輸省の秋山飛行場部長(当時)が、証言台で「私は航空機の騒音が好きだ」と言い放って、騒音被害は「個人的な感覚の差」とした被告国側の主張を支持したことに、傍聴していて激しい怒りを覚えたことを思い出した。これは、長年航空機公害に関わってきた私にも、新鮮な主張です。

 そして心理的影響よりも、具体的に睡眠障害から心臓機能の弱い人などへの具体的な影響が、疫学調査で明らかになってきたことが示された。発育の阻害、幼児の育ち方、子供たちの記憶力、そして心筋梗塞などが、現在のWHO案でも、55dB(デシベル)以上で影響が確認されているとした。夜間では平均で50dBを超えると障害が。

 さらに裁判を前に、市東さん宅と島村さん宅で三日間にわたって調査した結果を述べられた。家の中で、6時半から9時ころまで、市東さん宅で80dB、島村さん宅で95dB、60dBの状態が、23000秒(6時間)以上あることなどを証言された。そして、EUですでに夜間55dBで頻繁に健康障害がおこることを環境基準とする動きがあり、早晩WHOの基準となるだろう。日本の基準がそれに準ずる事を望むと証言を結ばれた。

 続いて市東孝雄さんが証言に立って、離発着機の爆音、排気ガス。ジェットブラスト(待機中の排気ガス)。着陸機のブレーキをかけた時のゴムの焼けた臭いが排気ガスのにおいに混じって家の中に入ってくる。離発着のときは会話や電話ができない。誘導路を自走している時の騒音の方が不快感がある、などの具体的な公害の状況を訴えられた。その上で、堂本千葉県知事が視察して「こんなところは人間が住む所じゃない」と語ったことや、NAAの黒野社長の謝罪文を指摘した上で、この裁判の第一審に対して、人が病気になったり死ななければ被害を認めないなどという主張は断じて許せないと弾劾した。そして、現在進められようとしている2500メートル化、ジャンボの飛行、そして30万回、24時間化の攻撃が航空需要が伸びない中で強行されようとしていること、そして飛行時間が午前6時から午後11時に来春4月から延長されることなど、追い出そうとすることが目的としか考えられないと証言した。081217_5

 親が残した土地だ。完全無農薬農業は移れと言われても、できるものじゃない。今の場所でできる限りやっていきたい。土地収用法で取れないものを耕作者を守る農地法で取るなど絶対許せない。絶対に守る。最後は、流血を辞さず闘い抜くと、決意をこめた証言が繰り広げられた。最後に、39%の自給率しかない現状で、食の安全が社会的な問題となっている。その中で農地を奪い、農業を破壊して公共の目的など成り立つのかと裁判長に訴えて証言を終わられた。

 暫定滑走路は、今日の証言で明らかにされた住民への殺人的な犠牲の強制をはじめ、滑走路に50メートルに迫る東峰部落の開拓道路、東峰神社、そして「ヘ」の字誘導路など国際航空協定の安全基準を最初から無視して違法状態のまま開港を強行した。それ自体が、東峰部落をはじめとした住民追い出し、部落の消滅を前提としていることは明らかである。こんな横暴な国家権力による国策の強行などどうして許せようか。このことが改めて確認された裁判闘争でした。松井さんの2時間近い証言と市東さんの鮮明な、勝利感あふれる証言で、この日の法廷を圧倒しきった。

 次回公判は、3月16日(月)午後3時から、最終弁論の予定。

|

« 「有機農業運動と〈提携〉のネットワーク」を読んで | トップページ | 第32回 三里塚団結野菜市 »

「たたかいの報告」カテゴリの記事

コメント

10月の「援農」の時に一番不快だったのがタイヤの焦げる臭いでした。我慢できなかった。呼吸をしばらく止めなければならなかった。ほんの一瞬滞在したよそ者でそれです。毎日毎分だったらどんなに腹立たしいものでしょう。
松井さんが証言された健康被害というのは、市東さんが証言されたあらゆる不快なものが複合すると、数値では単純に表せない、ものすごいものだと思います。
堂本の「人間の住むところじゃない」発言、怒りにたえない、誰がそうしたんだ!

投稿: I子 | 2008年12月18日 (木) 21時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「有機農業運動と〈提携〉のネットワーク」を読んで | トップページ | 第32回 三里塚団結野菜市 »