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2008年12月30日 (火)

FTA反対を掲げて闘い抜こう

081020

 関西実行委員会は、08年、4度延べ14日にわたる三里塚での援農・現地調査に取り組み、その一つの成果として10月からの産直の取り組みを開始しました。その中で、「農業」ということを様々考えることができました。そして三里塚闘争そのものについて。

 市東孝雄さんはこう言われます。「これ以降、畑をつくることが実力闘争です。Y4_2 そして、この先、もし私の畑に空港会社が手をかけてくるなら、私は実力阻止の闘いをしたいと思っています。この闘いは、全国の農民と労働者、反戦闘争や住民運動を闘うすべての人にとってもたいへん意味のある闘いなのだと強く思っています」と(10・5全国闘争での発言より)。

 また萩原進さんは、こう「農地収奪を阻む」の中で訴えておられます。「日本には、農民のための農政はない」「高度成長の中で今日の事態を農民に対して狙ってやってきて、今、農業の自動崩壊を狙っている」「これまでは、農地の上に作る作物に対していちゃもんをつけた。今度はその下の土地にまでいちゃもんをつける。・・・・その最たる問題として市東さんの農地取り上げ問題がある。・・・・耕作できないような状況をつくってPhoto おいて、その耕作放棄を口実にする。農家が悪いという姿を作ろうとしている。そのためには農地法を改正する。農地優遇税制の廃止とかをやろうとしている。誰が農地を守り通してきたのか、誰が農地を守っていくのかをはっきりさせていかないといけない」と。

 きわめて当たり前のことであるように思えるかもしれませんが、三里塚闘争の第一の柱として「日本農民の名において収用を拒む」と掲げられた(左写真 農民放送塔 福島菊次郎写真集より)ように、日本の農政、日本帝国主義に対する農地、農業を守り、農民を解放する闘いとしての位置をこの43年の過程で確立してきたということではないでしょうか。このことの重要さを見過ごすと、三里塚闘争の内実を見失うことにさえなります。「労農同盟論」の核心中の核心なのです。だから、萩原さんは、繰り返し「市東さんの問題が起こって気がついた」とも言われるのです。「農地収奪を阻む」で戸村一作委員長を懐古してその言葉を引用しながら萩原さんは次のように言っておられます。「『きのうまで農業で食えた農民が、今日は食えなくなる。日本全土の農民を奔流のように押し流す【近代化農政】の前には三里塚の農民といえども【一本の葦にすぎない】存在だ』と。さすが戸村さんだと思うけど、今から30年前に農業・農民切り捨て問題を見通していた。農民闘争としての三里塚がそれに対してどう答えるのかと」と。そして「言いたいことは、農業の本来的なあり方にのっとった農業の本来的なあり方の回復ということだ。これが実は、人間本来の利益にあっている」と。そして「これが労農コンミューンの一要素に発展する内容すら持っているんじゃないかと考えている。だから、戸村さんの問題提起へのおれなりの回答だ」と。

 ほとんど言うべきことがこれらの萩原さんの想いで語られていますが、もう少し具体的に言ってみます。食料自給率40%の現状に対し、日本農政(農水省)はF 建前上「45%を目標に」と掲げはします。しかし、FTAに活路を求めようとする日本帝国主義総体は、今や「自給率などどうでもいい」と農業を生贄にして東アジア共同体というかたちでの新自由主義的政策の展開として「アジア・ゲートウェイ構想」のもとで突っ走ろうとしています。三里塚闘争は、農民の生き方をも含めてこれに真正面から楔を打ち込み、突破しようとしています。「家族農業」「産直」「無農薬有機栽培」といった言葉にあふれる「あるべき農業の姿」への闘いの中からの追及は、それ自体が農民解放への道筋を提起し、「食糧主権」「地産地消」「地域再生」などと苦闘する人々の取り組みをも包含する地平を獲得しつつあるのです。市東さんが「畑を作ることが実力闘争です」と言われるのは、正にこの点においてなのです。

 そしてそうした取り組みは、当然にも、FTAに活路を求めようとする日本帝国主義による韓国、中国、インドネシア、フィリッピンなどの各アジア諸国への侵略と収奪、そして戦争政策に対して、文字通りの国際連帯をかけたこうした諸国における農民解放、農業再生をかけた農民、労働者との共闘を生み出す過程へと確実に発展していくだろうし、発展していかなければならないのです。それが「FTA反対」に込められた三里塚闘争のイメージなのです。萩原さんが「近いうちに韓国に行きたい」と言っておられるのを聞き、感銘を覚えています。そういう闘いなのです。

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