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2008年9月19日 (金)

食糧自給率

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 「大豆の自給率、知ってますか?」 ―― 先日、9月13日、「知らないうちに食べている遺伝子組み換え食品 その問題点は?」と題して、「神戸空港の中止を求める市民の会」の例会(上写真)で、生協都市生活の大沼さんから教えていただく機会がありました。1時間あまりの熱のこもった講演と質疑が交わされましたが、この詳しい報告は別に譲ります。そこで教えていただいたことを土台に食糧自給率について考えてみました。

 日本で、遺伝子組み換え食品で輸入や販売が認められているものは、とうもろこし、大豆、菜種、綿、じゃがいも、トマト、てんさい、アルファルファです。たとえば飲料メーカーのキリンが、コストを下げるためにトマトジュースに遺伝子組み換えトマトを使おうとして、消費者の猛反発を受け、断念。などで、結果、今、輸入されているのは、最初の4品、とうもろこし、大豆、菜種、綿です。その自給率が、何と 0%、5%、0.1%、0%(順番に)なのです。そして食品表示制度で表示不要なものが、大豆はしょうゆと大豆油、とうもろこしはコーンフレーク、水飴、異性化液糖、デキストリン、コーン油、菜種はナタネ油、綿は綿実油。この中で、しょうゆは消費者の関心が高いことに目をつけた大手一社が「遺伝子組み換え大豆を使っていません」と表示したため、ほとんどの商品が同じように表示しているそうです。しかし、価格競争と利潤追求がより厳しくなった現在の新自由主義的流れの中で、いつ表示が外されるかわからない(義務がないのですから)。つまり、組み換え大豆がおおっぴらに使われる時代が来る恐れが大きいことが指摘されました。

 大豆を考えてみたいのです。大豆は、日本人にとって非常に重要な、そして日常的に親 しんでいる食品です。大豆そのものはもちろん、豆腐、油揚げ、おから、凍豆腐、ゆば、納豆、豆乳、きな粉などなど。戦後、食糧輸出大国アメリカから大量に穀物の輸入が始まったとは言うものの、1960年にはまだ28%の自給率がありました。しかし、連作がきかPhoto_3 ず、気候の変化に弱い作物で、生産量の変動が激しく、どうしても手のかかるコスト高な作物でした。そのため、1961年の自由化以降、急激に自給率は落ち始め、1993年には2%にまで落ち込んだのです。1996年、遺伝子組み換え作物の輸入が認められたことに危機感をもった生産者と消費者によって「大豆畑トラスト運動」がはじめられたことや、無農薬有機栽培が進んだことによって、現在、自給率が5%まで戻ってきたというのが現状です。

 「遺伝子組み換え大豆は使っていません」と表示される限り、大丈夫でしょうという大沼さんのお話しに、「日本のお役所と大企業をそんなに信じれるか」と神戸空港反対運動をやってきた率直な感想がぶつけられました。汚染米の騒動が起こり、農水省の責任が問われているのですから尚更でしょう。しかし、今の政府や大資本の資本家たちや御用学者によって、利潤追求の新自由主義的発想からすれば「遺伝子組み換えは問題ない、安全だ」といったキャンペーンが行われ、表示義務などの規制が緩和される恐れは十分にあります。遺伝子組み換えの場合、「こういう点で問題がある」というのはほとんど立証されていません。また、モンサント社などわずかの巨大企業がその利益をほしいままにし、研究や指摘に対し金に糸目をつけず妨害していることも明らかになっています。アメリカによるグローバリズムというアメリカの独占的利益を優先した世界政策(WTO)に与して、どんどん食糧自給率を下げ、アメリカの最大の食糧輸入国になっているのが日本です。そして、アメリカの思惑に従った規制緩和を行ってきた日本政府なのです。現に、農水省が自給率50%を目標にするという一方で、政府の諮問機関、経済財政諮問会議で公然と本間正義東大教授などは、「食糧自給率など12%になってもいいんだ」(2007年)と言ってはばからないではありませんか。そして、FTA(自由貿易協定)は、日本にとって、こうした食料にかかる規制をとっぱらうことを代償に、トヨタやキャノン、パナソニックの商品を東アジアに押し付け、体制を維持しようというものなのです。08821_2 (左の写真は、市東さんの「へ」の字の畑で、きゅうりの収穫)

 ヨーロッパでは、多くの国が食糧自給率が100%を超えながら、「地産地消」という言葉があるように、農産物についてはEUという全体的な規制とは別に、各国ごとの助成金や農産物関税などの法的な農業政策がとられています。これは農業が持つ小規模、生産性が低いといった特性に規定された方策であることはもちろんです。そして、高い自給率を背景にアメリカによる輸入圧力に対して、「GMO(遺伝子組み換え作物)フリーゾーン運動」さえ活発に行われているのです。フリーゾーン運動とは、「遺伝子組み換え作物を栽培しない」という運動で、消費者のレベルから、都市、州といった行政レベルでの規制にまで発展しています。これは、食糧自給率が高いが故に可能となった、食の安全、農業の保護を意図した流れであることは明らかです。

 ヨーロッパもまた帝国主義の支配体制下にあることはもちろんですので、その政策をそのまま鵜呑みにすることはできないとしても、われわれが住む日本で何が行われているかを考える手立てにはなると思うのです。農業問題とFTAを考えようとするときの重要な指標に、このGMO(遺伝子組み換え作物)問題があるように思えます。いい勉強ができました。11月19日に、「市東さんの農地の取り上げに反対する会」が天笠啓祐さんを講師に招いておられます。天笠さんと言えば、こういう分野のお話しになるのだろうと、今から期待をしています。みなさんも、ぜひ、注目してください。

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私たちの(有)新庄最上有機農業者協会に、新庄大豆畑トラスト生産者事務局があります。トラスト提唱者の一人が当社の役員です。大豆以外に味噌・醤油に委託加工し、会員の方にお届けしています。遺伝子組み換え農産物に反対という志とは別に、事業としては赤字で当社で人件費を負担しての運動というのが実情です。現在、菜の花・大豆ファンドを1口35万円で募集し、菜種油、味噌・醤油の生産を増やそうと計画しています。大豆は6年ほど連作していますが、葉巻虫以外に連作障害はありません。自社製堆肥の効果と考えています。当地(山形県最上地域)の広葉樹が大規模に枯れ始めています。そのことが、一番心配です。

投稿: 長田邦彦 | 2008年9月19日 (金) 10時22分

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