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2008年8月16日 (土)

市東さんの農地を守ろう!(4)

Y2  市東孝雄さんの祖父・市太郎さんは、蓮沼の漁師の家に生れ長竿(ながそう)の金持ちの家に奉公に出てから、1912年、現在の天神峰の地に入植しました。ですから、父の東市さんんも、石橋など古い付き合いの人からは「ながそう」と呼ばれていたそうです。

 市太郎さんは入植当初、現在の自宅の場所(1927年には所有)で、下総御料牧場の従業員への雑貨・飲食店を営んでいました。従業員が1923年ごろ移転したのに伴い、農業を始められました。遅くとも1927年ごろまでに、下左図の畑(ア)の一部を藤崎から、自宅東側の畑(イ)と隣接する土地を岩澤から借り受けました。畑(ア)が、現在の広さに東市さんが広げて耕作するようになったのは1972年です。

 本来ならば、すでに30年以上にわたって市東家が耕してきた農地ですから、戦後の農地解放によって市東家の所有に帰されるべきでした。しかし、孝雄さんの父の東市さんが敗戦後帰ってきたのが、1947年の夏で、御料牧場の分譲はもう終わっていたのと、「千葉県庁のなかに世話課ってのがあって、引き揚げ援護局、そこへ行けば一発で合格するのに、今になって後悔している。こっちはよ、軍隊で散々な目に逢って。だからもういやだ」(1991年、東市さんへのインタビュー)ということで、手続きが行われなかったようです。また、農地解放の動きを聞いて、各地で、地主による農地の違法な確保が行政との癒着の中で行 われたのですが、この地域でも地主による不正な土地の所有(確保)が行われたのではないかとも言われているそうです。結果として、市東家の小作状態が現在まで続いたわけです。

 1984年、地主・藤崎は土地の分筆を行い、それに基づいた手書きの地図を東市さんに示し、耕作をしている現状の境界線の確認、現場の東市さんの立会に基づいた確認もないまま、東市さんの「同意書」と「境界確認書」をだまし取ります。空港需要をあてにしたホ テル事業に失敗していた藤崎が、資金繰りのために土地を売ることを考え、そのための準備ではなかったかと言われています。

 1988年3月~4月、空港公団(当時)は、地主の藤崎と岩澤から市東さんの畑(ア)と、自宅東側の土地を秘かに買収しました。丁度、その直後の5月、空港公団総裁・秋富は成田空港二期工事のための土地収用法発動を宣言していました。即ち、空港公団によるPhoto_3 市東さんの畑の買収は、この土地収用のための準備だったのではないでしょうか。また買収できたからの、秋富総裁の宣言ではなかったのでしょうか。

 しかし、その年の10月、収用委員会の委員全員が辞任し、収用審理ができないという事態に陥り、強制収用は不可能になりました。そして、国・空港会社は、1993年6月、二期工事について事業認定処分に基づく収用裁決申請および明渡採決申立の取り下げを行い、事業認定処分が失効。強制収用は法的にも不可能になったのです。

 二期工事の完成を断念した国・空港会社は、「ヘ」の字誘導路を含む暫定滑走路の工事を「軒先工事」としてすすめ、市東さん宅への騒音と排気ガス(ジェットブラスト)をあびせかけ、島村さん宅などの上空40メートル通過という「出て行け」と言わんばかりの現実を365日押しつける暫定滑走路の供用開始(開港)を2002年4月に強行したのです。

 この開港という現実を背景に、空港会社は、2003年になって突然、土地の買収を公表するとともに、市東さんに明け渡しを求めたのです。そして、なんと、その年も押し迫った12月24日に登記を行っているのです。

 実に15年間も、元地主たちと空港会社は共謀し、買収の事実を市東東市さんと孝雄さん親子に隠し、だまし続けてきたのです。耕作者の権利を保障した農地法では、耕作者の同意なしの売買を固く禁じています。また、地代を元地主たちが15年間受け取り続けたということは、詐欺行為でなければ、空港会社(公団)が、農業者でもないのに農地を所有し続け元地主に貸与していたことになるのですが、農業委員会に届けることのなかったこうした賃貸借による農地の使用は明らかな農地法違反です。

 しかも、2006年7月、空港会社が成田市農業委員会に対して市東孝雄さんへの耕作権解除許可申請を行うにあたって、耕作者の同意書を提出できなかったばかりか、買収したのが1988年でなく2003年であったと、まったく虚偽の事実をもって、こうした違法行為自体を隠蔽するという全く許せない脱法行為のもとに許可申請を行ったのです。こんなことがどうして許せるでしょうか。これは明らかに、15年間も買収の事実を隠し続けてきたことが農地法に違反する犯罪行為であることを空港会社自身が自覚していたからにほかなりません。

 同時に、これほどでたらめな許可申請は、直ちに受理そのものが拒否されるべきであったにもかかわらず、成田市農業委員会が、こうした違法、脱法行為を市東孝雄さんと代理人弁護団から指摘されながら無視し、受理するだけでなく許可し、千葉県農業会議に送付したこと自体が重大な犯罪です。そして、その送付をそのまま十分な審理をすることもなく、市東さんの抗議を無視して、「1億8千万円もの耕作補填をするのだから妥当だ」と全く許せない言辞のもと、許可を強行した千葉県農業会議と堂本知事の犯罪は、到底許せるものではありません。 (つづく)

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