一カメラマンの三里塚取材記(5)
2008.6.8~6.12 (1)
またまた長いブランクになってしまいました。読者の皆さんには申し訳なく思っております。今回は6月という季節柄、やっと念願の農作業風景を撮ることができました。
6月7日、深夜の高速道路を3人で走り継ぎ、午前11時過ぎにJR成田駅前に到着し、列車組のみなさんを待つ。しばらく待つとDパックを肩にTさんとMさんが姿を現した。合流 し、集会会場へと向かう。
少し早く着いたためか、集会会場には人影は疎らで、まだ閑散としている。ここに来て真っ先に感じたのは土の香りである。実に心地よいのである。ま、人間の生理にとっては当然と言えば当然か。普段の生活が、排気ガスと砂埃の舞うアスファルトとコンクリートに囲まれた中にいるので尚更である。
天候は比較的明るい薄曇りである。雨の心配はまずない。反対同盟の人達や、現地の支援団体のスタッフにより会場の設営が始まった。場所を空けるために移動する。
演壇の反対側の後方に歩いてゆく。靴が畑の土に沈む。平坦に整地された畑の土は驚くほど柔らかい。カメラバッグから機材を取り出す。2台のボディにそれぞれ28ミリの広角と200ミリズームを着ける。甲高い金属音にふと空を見上げるとジェット旅客機が飛んでいた。反射的にシャッターを切る。着陸するところかフロント・ギア(前輪)を出しノーズ(機首)をやや下げている。溜め息が出る。機影は梢の向こう側に消えていった。帰宅後、撮影したフィルムにはその機が捉えられていた。
各参加団体の挨拶、挨拶が続く。最後の発言者が発言を終えた。いよいよデモ行進に移る。前回、3・30のデモでは参加者から2名が不当に逮捕されている。ふと不安がよぎる。デモ隊の先頭を撮るため先回りする。何度撮ってもデモの写真は類型化してしまう。色々とアングルを変えてみたりと工夫しているが、なかなか納得のいくショットが撮れない。
それにしても、と思わざるを得ないのは、機動隊の異様な多さである。露骨に心理的圧力を加えているつもりだろうが、今、この時点で三里塚闘争を闘っている人達には、何の効果もないのは言うまでもない。デモ解散地点が見えてきた。思わず歩を早める。カメラのカウンターは、それぞれ30を超えていたのでフィルムを取り出す。
今夜は市東さんのところで交流会が開かれることになっている。アルコールがそれほど強くない私はまだ気が抜けない。機材をカメラバッグにしまい、市東さんのお宅に向かう。前に市東さん宅に伺った時はまだ寒かった。今日は、ペットボトルをカメラバッグに入れていた。季節の移ろい、時の早さを思った。
市東さんの離れの座敷にはテーブルが並べられている。正直ほっとした瞬間である。
記・山田耕平
写真は、すべて山田耕平さんが、前回3・30~4・1に撮影したものです。管理人としては、「カメラマンの取材記」ですから、写真を文章と一緒にデーター化したものをいただきたいのですが、この写真をもらったのが実に6・8三里塚へ向かう車中。ボヤキたくもなります。ねぇ、山田さん・・・。下から2枚目の左側の写真は、市東さんのお宅東側の畑から撮ったジェットブラストの写真です。新しいレンズをこのために購入し、撮った山田さん苦心の作品です。
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コメント
久しぶりの三里塚の話題。ほっこりする。ふるさとに帰ったような感じ。
ここだけの話、3ヶ月くらい三里塚で滞在して、病気回復のリハビリをさせてもらう事はできないでしょうか。2〜3時間働いて2〜3日ぶっ倒れる、というレベルから始まると思わるますが、最後は普通に働いて多少のお役に立てるようになりたいです。
土の匂いが私にはアロマテラピーです。大好き。めちゃくちゃ忙しい時期は使いモノにならないですけど、ちょっと余裕のある時期、使ってもらえないでしょうか。
投稿: ぶう | 2008年7月11日 (金) 23時26分
込み入ったお問い合わせは、メールで直接お願いいたします。答えられる限り、お答えしたいと思いますので。
投稿: 管理人 | 2008年7月12日 (土) 05時07分