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2008年7月26日 (土)

農業問題と三里塚闘争(1)

Y10   写真は、伐採された東峰の森を背に、畑での萩原進さん(07年11月)

 先日、7月21日、淡路で関実住民団体恒例の「研修会」が開かれ、初めて三里塚反対同盟の萩原進事務局次長にお出でいただき、1時間にわたる「農業問題」についての講演をしていただきました。今日から、数回にわたって、その録音の掘り起こしを、当ブログにそのまま全文掲載していきたいと思います。まったく修正を加えず、掘り起こしによくある事ですが、聞き取り違い、聴き取れない部分も多々あろうかと思います。出来れば、来月末発行予定の「実行委ニュース」123号に、整理をし萩原さんご自身の加筆訂正も加えていただいて、掲載したいと考えております。その原稿ですので、文責はすべて当「三里塚・関実ブログ」管理人にあります。題は、こちらの一存でつけさせていただきました。

農業問題と三里塚闘争 「労農同盟論」への考察(1)

 ご苦労様です。まあ、自分なりにはこの二年、あるいは二年半、「労農同盟論」というかたちで訴えて、三里塚闘争の広範な、あるいは、そういう意味で革命的農民運動、あるいはそういうものとの労働者との結合、そのものが三里塚闘争の中でやっぱり萌芽的にあったんじゃないのかということを下地にしながら、今日のこういう状況の中でどういう立場をとって闘いぬいていくのかということで訴えてきたつもりなんです。まあ、そういう中で前回、Hさんも、農業問題を訴えて勉強会がなされてる(08.2.26関実主催・三里塚公開講座。「実行委ニュース別冊『農業問題を考える』参照)。そういう下地がありますんで、それをもとにしながら現地でも、若い人たちと、そして産直を手伝ってくれている支援の人たちと共に、「労農同盟論」あるいは「農業問題」という問題の勉強会を3度、4度続けて今日まできたわけです。それをたたき台にしながら、三里塚から「労農同盟論」、そして三里塚の闘いがやはりそういう土台の上に立ってあるんじゃないかということを確認しつつ今後の闘いを展開したいというところを、我々、今勉強会を開きながら進んできてるわけです。

 まあ、ある意味で、まだまだ「農本主義」だとは言わないまでも「戦線主義じゃないか」というところでの批判を受けているわけですけれども、それでは、今日の世界的な食料問題から発するところの大きな闘い、それはどういうことを意味するのかと言ったならば、やはり自国日本においてこういう問題をどこが、どういう形で取り組んでるのか、言うことを問い詰めた場合には、これはどこもやってないんじゃないか、はっきり言って。まあ、少なくと08331 も自由貿易問題(FTA問題)をかかえもって、必ずそういう問題が世界中に蔓延するし、そしてそういう形が政治的、経済的な課題として登場してくるんだということは、まあ、2年前から自分たちは言っておったわけですね。やっぱり、そのことが、如実にすぐ隣の韓国においては、やっぱりそこには行われているんじゃないか。直接的な問題としては牛肉問題から端を発したけれども、やはり根本的にはそういうところが当事者である農民と、そして労働者が一体となって、そして政権打倒へ向かっていく。そういう怒涛のような大きなうねりが、すぐ隣にある。それに対して、単に「連帯するんだ」と言う形で言うのはいとも簡単な訳です。しかし、それに対して我々はどうするのかというところで対峙して、そして構えて、そして造り上げていくのかどうかというところが問題性としてあるんじゃないのか。はっきり言えば、労働運動の中で食料問題を取り上げて、労働運動をやるのかどうか、と言ったら、今の指導者で「またか」という形で尻込みしてるのが本当じゃないのか。しかし、今の流れの中に、・・・・できるだろうけれども、本質的にこれを革命的立場、あるいはそういう潮流の中で解決していく、そういう指導的立場でやるのかどうかと問い詰めた場合には、本当に責任持ってやるのかというところで、答えられるのが居るのかどうか。そういうことを、三里塚闘争を掘り起こしてやった場合に、そういうことがあるんじゃないのか。いうところまで突き詰めて今日、学習会を開いてきてるわけです。

 今、我々は「農業問題」という形で言っててきた。最初は確かにそうでした。市東さん問題を、農業委員会、あるいは自治体、あるいは県、農林省、そして全国の農民の現状を分析してやってみたら、我々の予想をはるかに、はるかに上回る速度で農家が潰されて、そして一つの階層が日本の中では死滅するという状況を醸し出している。その典型として、矢面に立たされたのが市東さんの姿であるというところで、本当に立ち遅れに立ち遅れた形で市東さんの闘いを立ち上げたわけです。しかし、そこには単に空港の持つ農地取り上げともう一つの軍事空港反対という二本の柱の中で、農地取り上げという問題に対する認識の問題というのが出てきたし、一方では、軍事空港という、いわゆる戦争に向かう空港建設の姿そのものの優先順位的なつけ方という形での理論性が浮かび上がってきたわけです。そういうものが一体となってやらなきゃあしょうがないというところが、裏返して言えば、文字通り「労農同盟」としての立ち上がりであるし、構築であるし、そしてそういう闘いが求められてきている、ということがあるんじゃないか。言い換えれば、自由貿易交渉で、やはり農産物を見返りとして持ってくるいう形のやり方ってのは、いわゆる農民階層、あるいは農業というものを、工業製品を売るために、道具として使われてくるわけですね。そういう意味では、農民階層そのものが、否応なしにそういう中で、自身を捧げられると同じように、そのことをもってやっぱり、資本家どもが生き延びていくという見返りをとるための姿であるというところで、後ほど結論的には申し上げますが、いわゆる資本主義の中では農業問題は解決でき得ないところがあるんですけれど、やはりそういう大きな流れの中で、今後市場の争奪戦、争闘戦というかたちが、もっともっと激化してくるところが今起こってきているわけで、大きな流れとして、先ずこの資料にも書いてありませけれど、食糧暴動、あるいは原油暴動という形で、インターネットで世界中駆け回っております。そういう形で、今後どんどん深みにはまっていく、というのがここの実情ではないか。そういう中で、先ほど永井さんの話の中にもありましたけれど、そういう意味でやっと食料問題は、黙っておったんではこれはしょうがないというところで、国民総体が関心を持たざるを得ないところまで入ってきた、いう段階に来てるんじゃないかと思います。そういう中で、やはり農民そのものが、もう臨界点に達していると自分たちは分析したわけで、この人たちとどうやって闘いぬいて、一緒に戦線を作っていくかってところまで指針を出していかなければならないというところまで行きついたのが、現在の三里塚闘争の姿じゃないのか。(つづく)

 (なお、この21日は、聞くことに必死で、写真を撮ることを完全に失念しましたので、今後も含め萩原さんの写真は、全て過去のものです。右の萩原さんは、08年3月31日、現地調査に訪れた私たちに語ってくださる萩原進さんです。)

 

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