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2008年5月16日 (金)

農政論議のすり替え

Photo  昨日の朝日新聞が、14日の経済財政諮問会議で農業改革について議論されたことを報じた。同記事は「世界的な食料価格の高騰は新興国の需要急増が背景にあり、日本の『輸入頼み』の危うさは高まる一方だ。規制緩和による農地の大規模化や企業経営の導入で自給率を上げることが課題」と結論を提起したうえで、同会議での農水省などの「及び腰」を批判するキャンペーン記事だ。

 同記事は、その上で「日本の農業の最大の問題は小規模な家族経営が多く、生産性が低いことだ。土地の値上がり期待から農業をやめた農家も土地を手放さず、集約化が進まない。一方で後継者難のため、耕作放棄地は増えている」とその論拠を上げている。

 この朝日新聞の提起と論拠こそ、2006年の高木委員会の「農政改革最終提言」そのものであり、その上に立って本間正義東大教授が「自給率は12%になってもいいのだ」として「小さい農家は退場願う」と言い切った論拠そのものではないか。農業そのものが本来生産性の低いものでありながら、地域の経済や自然、社会にとってなくてはならない役割を果たしていることから、同じ先進国であるEUのイタリアやドイツ、フランスなどでは、農業のこうした機能への助成措置を大幅に行っている。農業の生産性や、農民のあり方が悪いかの如く論ずる朝日新聞の論調自体に重大なすり替えがあるのだ。

 農民作家である山下惣一さんは、この日本の「論調」への警告をこめ、「百姓が時代を創る」(08年3月出版)の中で、こう指摘する。「私は日本の農業は『小農』でなくてはならないと確信しています。『小農』がたくさんいて地域を形成し農業が持続できるのです。けっして、その逆ではありません。 / 『小農』と『大農』の区別をかって守田志郎は『自家労力で営むのが小農』『雇用で営むのが大農』と定義しました。私の定義は、『暮らしを目的とするのが小農』『ビジネスを目的とするのが大農』です。いま大変な苦境にあるのは『大農』志向の『小農』なのです。これからもっときびしくなることでしょう。 / この国の風土から生まれ、長い歴史を重ねてきた『小農』を核として工業も商業も住民もすべてが力を合わせて地域を支援し、自分たちの暮らしのエリアをきちんと守っていく。その先行モデルをこの日本で作って世界に発信する。文字通り『百姓が時代を創る』のです。チャレンジしてみたいですね」と。

 朝日新聞の一貫した「虎の威を借る狐」のごとき論拠のすりかえを許さず、農が農として成り立つ道を農民のみなさんと一緒になって考え、道を探ることが必要になっているのではないだろうか。  

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