雑感 食べ物の輸入
新自由主義、グローバリズムによるWTO体制のもとで、さまざまなものの関税が引き下げられ、1980年代の後半から、野菜や果物の農産物、そして水産物の輸入などが一気に増大を続け、食料自給率が下がって いった。右下のグラフは、日本の国内漁業生産量と輸入量の推移を示したものです(『現代の食とアグリビジネス』2004年出版より引用)。
それも、日本企業のアグリビジネスによってアジア各国、中国、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾などに安い労働力を求め、冷凍食品の工場や、現地法人をつくることなどによってどんどん農産物の輸入が広げられた。水産物でも、回転寿司のネタが、ブリやタイの養殖物を除けばほとんど輸入ものであることに象徴されるように、エビやマグロなどの高級魚はもとより、近海物と考えられたタコはモロッコなどのアフリカ沖、サバはノルウェーから。アジやイワシ、シシャモまで輸入が増えているという。
「骨なし魚」というのがある。安い労働力によって、3枚におろしてから、指先で確認しながらピンセットで1本、1本の骨を抜き取っていく。そして開いた身の片面に結着剤を付けて張り合わせ、元の魚の姿に戻すというのである。
エビの養殖では、すでに明らかにされているように、アジアのマングローブ林の自然を破壊し、大量の飼料・薬品投与で水質悪化と、大量の池水交換によって地盤沈下や水系の破壊、農地の塩害などの深刻な被害が出ている。
以上は、『現代のアグリビジネス』(有斐閣選書 2004年刊)を読んでのごく一部の披露です。「アジア・ゲートウェイ構想」で、今、東アジア共同体構想とやらで、日本帝国主義がやろうとしている一端がはしなくも現れているではないか。今、「食料自給率12%もやむなし」と進んでいる農業破壊、農政改革とは、こういうものの延長なのだ。
同書は最後に、「自由貿易協定(FTA)の協議に入る中で、マスコミでは農業サイドを『悪者』に仕立て上げ、自由貿易協定の協議が進展しないのは農業生産者団体が『抵抗』しているためであるという論調が後を絶たない。こうした論者は、米加自由貿易協定や北米自由貿易協定では、乳製品・鶏卵・鶏肉・砂糖など重要な農産物を関税撤廃の『例外』扱いにして保護することで、FTAを締結したという明白な事実に口をつぐんでいるのである。FTAの真のねらいは多国籍企業の活動の自由を最大限に補償することであり、それが農業生産者や消費者にどのような影響を及ぼすかについてリアルな検討が今ほど求められている時はない」(同書322ページ)と述べている。
今こそ「FTA反対」「G8サミット反対」を怒りを持って組織していかなければと思いを強くした。
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